2021年上半期映画ベスト10
2021年上半期での劇場鑑賞は合計31作品。大谷翔平のホームラン数を上回っているので、いいペースで鑑賞できていると言えます。まだまだ大作洋画が上映していない現状もあり、邦画が多い10作品となりましたが、私はいつになったら「アナ・デ・アルマスとレア・セドゥどっちが好き? どっちも好き!」と盛り上がれるんですかねぇ。はっ!
もしやこれもダニエル・クレイグの007を終わらせたくない何者かの陰謀、、、。そういえば、僕が半期で順位をつけないのは、「上半期はAよりBが好きだって言ってたのに、年間になったらAのほうが順位上じゃん」とならない予防線なのですが、よく考えたら、ひとの好きは常に変わって当たり前なんだよな。半分くらいは年間ベスト10狙えるので短めに。公開日順です!
『花束みたいな恋をした』
年明けになんてものを劇場で公開しているのだ...。多くのサブカルたち、かつてサブカルだった者たちの心をめった刺しにしていった映画だ。コンビニエンスストアで350mlの缶ビールを買う、きのこ帝国を歌う、宝石の国を読む。その姿を見て、あれ? 俺は本当は菅田将暉なのではと思ったが、劇場にいる多くのひとが同じことを考えていただろう。これぞ人類総菅田将暉化計画。いやいや、別に、だいたいどの映画もドラマも主演:菅田将暉になっている現状への皮肉ではありませんよ。本作については、雑にまとめちゃうと、好きが変わってしまうけど好きだった事実は消えたりしないよね良くも悪くも。な話だけど、個人的には共感というより同族嫌悪的に、自分が捨ててきたものを大事そうに拾ってきて見せつけてきて辛かったです。同時に、過去の恋にならなかったもの、恋にすらならなかったもの、恋だったかもしれないものに、花束を贈ってもらったような気にもなって、どこか清々しい気持ちもあるんだよな。少しの懸念点は、同じ坂元作品だと、このあとに放送されたTVドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の出来が良すぎたことと、たぶん僕は麦くんのこと好きじゃないことです(おい)。他人の髪の毛を勝手に触ってドライヤーする男なんて信用できません。だいたいなんだよ、「好きな言葉はバールのようなもの」って。好きな言葉は情熱か向上心の二択だろうがッ
『花束みたいな恋をした』感想ブログ 麦と絹と僕『すばらしき世界』
あの、すばらしき世界もういちど~~。価値観、倫理観をフェザータッチで逆撫でしてくるような西川美和監督作品。同時期に『ヤクザと家族』も公開していたので、あの頃はとんだヤクザタイムだったわけですが、それによって北村有起哉フェイントが発生しておりました。あれ、この北村さんは実はいいひと?悪いひと? いや、そもそもいいひと悪いひとって、どのタイミングで誰が決めるのかという話なんですけどね。現在進行形で小さな悪と、いまはそうでもないけどかつて巨悪だった過去があるひと。果たしてどちらが信用に足るべきか。社会で暮らすには、ひとりでは生きられない。この紛れもない事実をシビアに描いた作品であり、タイトルに滲む優しさと皮肉に思いを巡らせてしまう。強い映画だ…『あのこは貴族』
上半期優勝の大本命。それに、そのまま今年の優勝もしそう。そのくらい大好きな映画になった。都会に暮らすお嬢様の門脇麦、田舎から上京して東京に憧れる水原希子…え? 逆じゃないって? 僕も予告編ではそう思ってましたが
『あのこは貴族』
— オガワヘヴンリー (@k_ogaga) February 27, 2021
めちゃめちゃ良かった…!東京のお嬢様と地方出身者って主演2人の配役が逆じゃない?と思ったけど全然そんなことなかった。門脇麦が絶対良いのは分かっていたけど、水原希子があんなに最高だったとは。あの自由を纏う眩しさに彼女も彼も僕らも惹かれてしまうんだ#あのこは貴族 pic.twitter.com/9Bb1dBG1bA
いやもうほんと手のひら返しで水原希子さん大絶賛ですよ。手のひらトリプルアクセルですよ。このキャストで最高。それぞれの友達役の石橋静河も山下リオも最高。それを選ぶしかなかった高良健吾の佇まいもよかった。地方と東京、内部と外部、分断と共鳴。対比の連続の先に見えるのは、埋まらない溝と、僕らはきっと分かり合えないこと。だけど認め合うことはできる。だから、その交差地点から手を振ろう。あまりに映画に感動して原作も読んだけど、あれもこれもオリジナルだったのかという気持ちがすごい。映画の大半部分での門脇麦のなんか幸せになれなさそうオーラすごい。別に成田凌と組んでないのに。
『あのこは貴族』感想『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』
いやマジで終わったな…。正直なところサグラダ・ファミリア的なノリだと思っていたので本当に終わるとは。いやー。アスカ、幸せになってくれ…。あの“だった”は上半期最高のだっただった。同時に、そんなガチ勢でない僕でもこんな感じだから、エヴァと青春を共にしたベテランたちのメンタルが心配になりました。成仏できただろうか。色々な延期の結果、卒業式シーズンである3月8日公開になったのもピッタリでしたね。さながら終盤は、あれ卒業式のトウジかな、いや答辞かなとすら思いました。あの独白はまあ分かりやすく(完全には分からないけど)なったことで綺麗にはなるけど、らしさが薄れるとう葛藤はあったでしょう。ヤマアラシのジレンマですね(?) まさに0点で∞。とはいえ、あまり大きな声では言いませんが、観賞後は鈴原サクラの、最近はアヤナミレイbotのせいで、なんとなく感動が上書きされて徐々にネタ枠に移行しつつある。どうして。
『まともじゃないのは君も一緒』
この映画をまだ見てないんですか? それは「もったいないね!」今をときめく朝ドラ女優清原果耶ちゃんと、今をときめくクズ男が似合う俳優成田凌のちょっと普通じゃないラブストーリー。いやラブストーリーなのかこれ。どういう話かと言えば、清原果耶が予備校講師成田凌に勉強を……は!これ、『おかえりモネ』のモネと菅波先生の構図ではないか!と思いましたが、こちらの清原果耶はぜんぜん勉強しません。でもいいの。とにかく全編会話のリズム感が良い。それに登場人物みんなすこし“まともじゃない”んだけど、不快感を抱かせないくらいの絶妙ラインが良い。清原果耶が年上にズバズバ言うのが最高、成田凌が変な笑い方をするの最高、そして小泉孝太郎が小泉進次郎みたいで最低で最高だった。傑作というより大好きという感じの映画だったけど、僕はこの好きを定量的に言えないからな
『ノマドランド』
アカデミー賞受賞も納得の出来映え。いやあ超良い映画じゃん、超リアリティあるじゃんなんて、思っていたら実在のノマド民が本人役で出演しているとのこと。つまりノマド民とフランシス・ノマドーマンドの二人芝居ということですね(は?) 全編がドキュメンタリーっぽい雰囲気で進み、映画と現実との境界が曖昧になっていく。肯定も否定もしない目線の真摯さが浮き彫りにする世界の美しさと残酷さ…。資本主義によって奪われた主人公が、資本主義の象徴みたいなamazonで働くのは皮肉。だけど同時にamazonはそういう定住してないひとにも仕事を提供していると考えると…そう簡単にはもう通販は楽天にする!とは言い切れないのであるな。
『街の上で』
ららら下北以上〜下北未満〜と、下北沢から出ない超下北沢映画。元々の企画が下北沢を舞台にした映画、とのことだったらしいけど、とにかく登場人物みんなが今もまだ下北沢にいそう感がすごい。ふらっと古着屋とかにいるんじゃないかと思える。それはメインの若葉竜也と美女4人だけじゃなくて、脇役も含めてね。こんなに長髪の男が登場してスーツの男が登場しない映画もなかなかないのではないか。変わりゆく街と、そこで時を刻んだ証。特別なにも成長してないかもしれないけど、そこで生きているだけで、日々は滑稽で愛おしくてドラマチックだ。ま、兎にも角にも、中田青渚さんですよ。大好きだよ城定イハ!「聞かんでええし」の破壊力、定食の定じゃなくて、とんかつ定食の定という生活感。上半期みんなが恋したことでしょう。恋人にしたい、恋バナを聞いてくれるだけでもいい、グレーのTシャツを着てふらっと現れてくれるだけでもいい…
『21ブリッジ』
上半期屈指の硬派映画。ストーリーが読めると捉えるか王道と捉えるかは紙一重だけど、余計な感動エピソードとかが削ぎ落されて、夜明けまでに犯人を確保するというクライムアクションに全集中したのが超好感。見たかったものにジャストで提供されているこの感じ。上手く言えないけど、ふらっと入ったレイトショーとか、何気なく深夜にTVをつけたとか、そういう偶然の出会いで見たらめちゃハマりそう。というかイメージがやっぱり夜なのよ。闇夜に光るパトランプ、鳴り響く銃声。そして癌を患っているとは思えない動きを見せるチャドウィック・ボーズマン。ワカンダフォーエバー!
『クルエラ』
『アイ;トーニャ』監督×『女王陛下のお気に入り』脚本家の攻めの布陣で望んだディズニー映画。101匹ワンちゃんの予習なしで臨んだけど全然OK。むしろ全然101匹感ない。ファッション業界を舞台に、重鎮と勝負するのはまさにプラダを着た悪魔。なにより最初厳しいけど絶対最終的に主人公の味方になっていいアシストするスキンヘッドのあの男ことマーク・ストロングが余計にプラダを着た悪魔感をマシマシにしています。だけどクルエラの服はヴィヴィアンっぽいんだよねえ。俺は洋服が欲しい!それはそうとやっぱり公開劇場が少なすぎる。シネマカリテには感謝してるが大音響で見たい映画ではあるので…ディズニープラスなんとかしてくれ…
『猿楽町で会いましょう』
上半期最大のポスター詐欺。暗黒も暗黒、地獄の恋愛映画だ。痛い、痛いよ…。そしてこの痛みの3分の1くらいは、金髪の金子大地の色気に刺された傷です。チャプターに分けられて始まり、空気が変わる第二幕。ゾッとする恐怖と、逃れられない苦しさが押し寄せる。その嘘は、自分をも騙すためだったのか。ほんと誰も正しくないんだけど、この孤独をたぶん僕らは少し知っている。エモなんか生易しい言葉では許してくれない。許してくれよお!!
それはそうと、みんなはカメラマン金子大地とインテリアデザイナー栁俊太郎、どっちが好き?? うん、どっちもダメな男の匂いがする!!!
- 次点 -
磯村勇斗の最後の表情に涙が止まらないヤクザ大河『ヤクザと家族』、家族の感情が決壊する瞬間が切ない『夏時間』、濃密な熱量で描かれる編集の業とクリエイター賛歌『映画大好きポンポさん』、上半期屈指のチャーミングロマンティック枠『1秒先の彼女』
- 上半期の女の子 –
『名も無き世界のエンドロール』
山田杏奈
『花束みたいな恋をした』
有村架純
『あのこは貴族』
門脇麦
水原希子
石橋静河
山下リオ
『まともじゃないのは君も一緒』
清原果耶
『騙し絵の牙』
松岡茉優
『街の上で』
穂志もえか
古川琴音
萩原みのり
中田青渚
『アンモナイトの目覚め』
シアーシャ・ローナン
『クルエラ』
エマ・ストーン
『胸が鳴るのは君のせい』
白石聖
『猿楽町で会いましょう』
石川瑠華
『1秒先の彼女』
黒嘉嘉
下半期もなにとぞ!
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