いよいよ本当に夏が終わりそうなので、僕が見てた2022年夏ドラマの感想書くよ。
『ロマンス暴風域』
いやーー...痛い。明日カノの次に、風俗にハマる男の物語を放送するのマジ鬼畜。映画『猿楽町で会いましょう』の児山監督が描く大塚で、行き場のない孤独と嘘みたいな幸せ。とにかく湿度を感じるドラマで、まるで雨が降る直前の空気みたいだった。工藤遥さんの擦れても無垢でもない感じ、ハスキーボイスと八重歯、低くも高くもないテンション、全部普通で特別だった。忘れられない儚さだった。小野花梨さんの擦り切れそうな現実感も辛いし、何より渡辺大知の本人的には真剣なのに純粋すぎて傲慢で独りよがりなクズさが絶妙で最低で最高だった。あと内田理央さんの最高の女友達感な!ファミレスが超似合うよな! 個人的に、内田理央さんは姉御系も心の友も彼氏の周りにいて欲しくない女まで、どのベクトルでの女友達をやってもこなせるほどの女友達力があると思います。(大好き)
煙草に火をつける転換、OPの逆再生などのキレキレの演出、何かが起こりそうなときに聞こえる雨風の音も濃くて良い。映画みたいな質感の映像に乗せて、主人公の心情にリンクするような閉塞感や目的なく物語がふらつく感じが、彼の脳内というか心理を追体験するようでマジ辛かったです…。知ってしまったら、もう戻れない。意志、未練、思い。好きで居続けられるだろうか、変わらず同じ気持ちを持ち続けられるだろうか。運命、じゃない。真実の愛なんてない、全部自分が選んだこと。何処に進むか分からない列車に乗って、僕らはいつか駅を選んで降りなくてはならないんだ。自分の惨めさと君に向き合って、線路は、日々は続いていく…。辛い。でも優勝!
『純愛ディソナンス』
先生と生徒の禁断の恋だし、吉川愛ちゃん可愛すぎるし、中島裕翔くんの頭身とか色々少女漫画仕様なのに、こんな暗黒で面白いのはどうして…? 1話でドロドロなボーイミーツガールどころか血が流れる殺人事件までぶち込む展開で、この吉川愛ちゃんに出会ったら運命は走り出すしかないと思わせてから、最後まで突き進んだのが素晴らしい。冷静に考えると、正直かなりトンチキドラマになりそうなのに、劇伴によってドラマ性を帯びて、映像の空気や情感が増して物語に引き込まれてしまう。それぞれにそれぞれの痛みと闇があって、誰しもが自分と相手への相反する想いに空回りして自爆する。でもその行動が、どこかで誰かの背中を押したりするのかもしれないな。
演者もみんな最高で、中島裕翔くんは様々な立場の主人公の顔を演じ分けているし、吉川愛ちゃんは巡る感情を全部表現しているし、比嘉愛未さんは最終的にいちばん格好いいし、佐藤隆太は起こした言動と結果だけ見るとラブコメに登場するお節介な友人とほぼ変わらないのがウケる。選べない家族の縁と因果、何もかも失ったあとに残るのが愛。離れたくない執着と、それでも誰かに出会うことで変わる世界。正しさも間違いも混濁した決断だとしても、みんながそれぞれ一歩を踏み出した、気持ちの良い物語だった。まあとにもかくにも、どんな泥沼展開でも禁断の恋でも、この恋を応援したいと思わせるほどの中島裕翔くんと吉川愛ちゃんの横顔の美しさに大拍手! 幸せになれよ! 出オチみたいに登場した1話のアキラ100%ってなんだったんだろうな! 大円団!
『初恋の悪魔』
辛くて切なくて忘れられないドラマになった。いや辛くて切なくて忘れられないってまさに初恋じゃん。ここでタイトル回収じゃん? まずキャスティングが最高。全員が実力あるので安心感あるし、仕草表情で伝わる情報量がすごい。それでいて良い具合に地味というか、テアトル新宿の映画みたいというか、庶民の延長にいるような絶妙な平凡さ(褒めてる)ゆえにもたらされる親近感と感情移入。だから余計に伊藤英明の浮いたメジャー感がめちゃ不穏で効いてる。超怖え。あと、結構奇天烈クソ陰キャ野郎だったのに、如何せん顔が整いすぎていて変な色気がある林遣都と、顔は正直なところイケメンって感じではないけど、手足や仕草から色気がダダ漏れしている柄本佑が、もう永遠に見ていられるほどにエロいですよね…。そして俺の#松岡茉優 。振る舞いとか空気ですぐにわかる。もう松岡茉優はクレジットで二行にしたほうがいい。そのくらい二重人格で別人だった。でもどっちも好きになっちゃう…わかるよ…。
思えば序盤はぬるっと始まった。だけど、いつの間にかどんどん不穏になって、どんどん面白くなった。だけど最後までサスペンスというより、ひとの痛みや孤独に寄り添う物語だった。ひとの多面性を愛する物語だった。誰しも見せたい面と隠したい面がある。だから、私が見せたい姿を君は見てくれよ。だってきっと、君が知ってる私が1番かわいいから。あの瞬間も、あの瞬間も忘れられない。サブリミナル安田顕も、ボラギノール独白もきっと忘れない。たぶん忘れられなくていいんだ。覚えているよ。消えても消えないもの、私のなかに生きるもの。会えなくても離れていないひと、離れていても愛すること。寂しさは誰かといたから感じるし、その胸は恋をしてたから痛むのだ。前のようには戻れない。でも、もう戻らなくていい僕らは、一歩を進めていく。今が、世界が良くなっていると信じて。そして、くだらない他愛もない会話にどこかクセのある台詞がてんこ盛りの坂元裕二脚本の物語だからこそ、ド直球の「好きになりました」や「ありがとう」がめちゃめちゃ響いてしまうんだ……。恋しちゃったんだ、多分気づいてないでしょ……(泣)
『石子と羽男』
とにもかくにも中村倫也がやばい。なんだあれ、電話のアレも、玄関のアレも、最高すぎるだろ!!! この胸のときめきは何。恋しちゃったんだ多分気づいてないでしょ??? 普通を演じる天才たちである中村倫也と有村架純がコンビを組んで、ミニマムな世界、私たちが暮らす身近な世界を、1話から最終回まで、着実に積み上げてきた実直な地味さ。声を上げる、弱きを守るのが法律というところをブレずに通してそれは、大きな事件がなくても面白い。話の展開もオチも綺麗で、良く出来たハイクオリティなドラマだったと思う。でもそれと同時に、すごい丁寧に道案内されて舗装されて等間隔で給水ポイントも設置されているような通路を歩いている気持ちにもなった部分もあり…。
たぶん、個人的にRADWIMPSや現実のニュース映像が流れる辺りの感じに本作の意義は感じつつも、その手法がそんなに好みではないというか、そこでのブレーキが全方位的な高得点を生む代わりに爆発力を損ねている気はするんだよな…。なんでだろ、あれか、赤楚衛二が報われてるからか? 赤楚衛二の不憫度が物足りないのか? (いや結構仕事運不憫だったぞ) いや、すげー正直な話、もうこんな時代だし、恋愛なんかしなくても積み重ねた信用と信頼で結びついたふたりを描き切ったという点で本作は素晴らしいんだけど、個人的にはその……中村倫也がもうとにかく格好良くて色気もあるのに自然体だから、普通にこの羽男のいちゃいちゃシーンを見たいと思ってしまうんだよな! キュンとさせる中村倫也をもっとくれよぉ!!!(おい)
『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ 』
NHKの本気を感じる映像に音楽。15分という短編を、いい意味でもっと多くの時間が経ったように感じさせる濃密さ。どの話にも資本を感じる…! 衣装にロケーションに、世界観作りがかなり徹底されていて、どの瞬間も絵になるドラマだったし、そのなんとも言えない無機質感と、今日にも通じるテーマも多い星新一の先見ぶりがベストマッチ。驚きと共に、毎話ゾワっとしたりしんみりしたりと、様々な感情が押し寄せるのですごいです……。#水原希子 の「ボッコちゃん」や、「地球から来た男」高良健吾など、美しいお顔のひとってSFの空気似合うよね。お話としては、先のふたつと、滝藤さんの軍服似合う感とブラック描写がキレキレでヤバい「白い服の男」、終わり方が優しくて切なすぎる「薄暗い星で」、戦慄の旋律と独特の映像が忘れられないし小梅太夫に全く気づかない「逃走の道」がお気に入りだったかな! あ、石橋静河さん回も好きかも。もちろん、玉城ティナ様も可愛かったです♡そろそろ秋に何見るか考えないと! もう10月って嘘だろ。。。
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