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『アイネクライネナハトムジーク』感想レビュー 「出会いがない」って言いづらくなってしまった



(C)2019 映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会



『アイネクライネナハトムジーク』



小さな夜
劇的じゃないけれど 最高じゃないけど
それが“悪くない”のに

-斉藤和義『小さな夜』-



2019年の話題作『愛がなんだ』の今泉監督の最新作は、やっぱり優しくて暖かくて個人的にはそっとありがとうって言いながら胸にしまっておきたい映画だ。ストーリー的になにか劇的なことが起こるわけではない。エンタメ的に最高ではなくても悪くないこの素敵な映画を、『愛がなんだ』みたいにグサグサ刺さったえぐられたやばい仲原やばいという方向性ではバズりそうにはない魅力を、どう伝えれば良いだろうか。



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ちゃんとそんなに格好良くなく見える三浦春馬、今回も絶妙な多部ちゃん、うざいのに良いこと言う矢本悠馬、大天使森絵梨佳に、しみじみ泰造などなど登場人物みんなに幸せになってほしい。そう思えるくらい正直ちょっとダメなところもあるけど愛おしくて応援したくなる登場人物たち。そんな彼らと、日本人でヘビー級チャンピオンに挑むボクサーを中心に話が進む。基本的にはこのボクサーを見て元気を貰ったりして何かが生まれていくのだが、同時にボクサーもまたスペシャルな存在でありながら、僕ら一般市民と同じような想いを抱えていることが描かれ、みな同じ人間なのだと思わせる。


本作は大きく分けると「出会い」と「それから10年後」が描かれている。10年である。青春映画のエピローグとかでよく見る数年後ふたりは結婚式挙げてます的な話ではない。10年あれば結ばれることも別れることもある。髪型も変わるし子供も大きくなるし挫折だってある。いいことばかりではない10年かも知れないけれど、「出会い」が何かしら影響は与えていて縁が繋がっていく。その先に、出会えたのがこの人でよかった。そう思える幸せ。


というか、よく考えると結構非日常なことが起こっているけど日常の延長に見えるんだよな。そして今を生きる観客の僕らにも、こんな素敵なことが起こるかもしれない。むしろ自分の周りにこんな素敵な話が紡がれていたらいいなと、あたたかい気持ちになる。


みんな誰かとどこか不思議な縁で繋がっている。繋がっていなくても同じ様な想いを抱えて生きている。10年という月日で変わるものも変わらないものも嬉しいことも悲しいことも劇的じゃなくても日々は続く。奇跡とは何気ない日々と少しの偶然の積み重ね。奇跡は手作り。そんなみんなが歩んだ日々を全肯定してそっと背中を押してくれる、大きな愛で包み込んでくれる作品だ。なんだか泣けてしまうな。


以下、ネタバレあり






奇跡的な出会いをした泰造夫婦と、奇跡的出会いに憧れそこそこ奇跡的な出会いをした三浦春馬多部未華子組と、奇跡的な出会いなんてないという矢本悠馬夫婦と。それぞれの10年間の顛末を見ると、やっぱり偶然を奇跡に変えていくしか道はないのかとも思う。だけど傍から見れば良い結果と言えなくても、出会えてよかったと思える。そのことこそ奇跡であるのだ。


だからこそ、そのきっかけに過ぎない「出会い」の大切さ、美しさ、素晴らしさを伝えるべく、最後のボクシングと三浦春馬の全力ダッシュで追いかける部分が、全編にリアリズムがあった中で意図的に劇的というか映画的にしているのではと思える。


泰造と三浦春馬の状況がリンクして、ボクサーと志乃ちゃんの菊池の告白うんぬんがリンクして、三浦春馬と多部ちゃんが出会ったように、あの駅前の弾き語りの前で菊池と恒松祐里(かわいい)の恋が始まる。


三浦春馬の役名が「佐藤」で名前が明かされないのも、普遍的なイメージを与えるのに一役買っている。


森絵梨佳(かわいい)が娘である恒松祐里(かわいい)に、ダメそうに見える夫と結婚して当たりかハズレかで言えば当たりだと言っていて、それこそ冒頭に引用した「劇的じゃないけれど 最高じゃないけど それが“悪くない”のに」だよなあ。


それにしても、合唱のシーンで左後方から撮られる恒松祐里さんがスペシャルすぎて恋に落ちたよ私は。



公式がflumpoolのコメントだしたからもう『君に届け』みるしかない...

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