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『ガルヴェストン』
原作では時系列シャッフルしてるらしいのだが(それで脚本も務めてた原作者が降りたって本当?)今作は時系列通りに進む良いロードムービーになっている。良いって言っても明るくハッピーって感じではないし、特別大きなサプライズがあるわけでもないけど。退廃的で虚無的な。
危険な男と若い美女の逃避行というよくある話ではあるのだが、2人の空気とか、画面の湿度とか、眩しさとか、長回しの緊迫感で、出来映え以上に好きになりそう。(僕はとりあえずエル・ファニングの時点で加点がすごい)
基本的には、ベン・フォスター演じるロイの復讐と贖罪の話だ。PG12でエル様がロッキーという娼婦役と聞いて大人のシーンを期待した諸君(および僕)には残念だったが、おそらく指定なのは暴力描写だろう。
とはいえ、大人のシーンではないけれど、エル様の海のシーンは忘れられない。白い肌に金色の髪、そこに鮮やかなブルーの水着。エロいとかなんて通り越して、もはや神々しい。眩しいのは後光である。天使かな?まあ天使でしょう。いやどう考えても天使である。そしてこれは、出会ったときの真っ赤なドレスと対になるようなカラーなのである。
海のシーンでは疑似家族感含めて万引き家族を思い出す。(松岡茉優の水着も青系だったような)その他にも劇中、こちらが心配になるくらいざっくり胸が空いてるシーンもあるが、ちゃんと本編に集中させる画面とエル・ファニングの力。ロイは絶対にロッキーに手を出さないマンなのだが、ちゃんとそのシーンまでに感情移入できているので、同じように僕も手を出さないマンの視点で見ることが出来る。
死に場所を探す者と、生きるために縋る者。肺に影が見つかり組織にも裏切られたロイは、ロッキーと過ごすうちに彼女が希望となる。ロッキーもまた脱出したいというところから再起を図ると思えるようになったのも、ロイという希望があったからなのだ。ハッピーな話ではないので、いくら美しい瞬間があっても悲しいシーンもある。というか終盤は結構辛いし、皮肉な結末である。だがそれでも、あの美しい瞬間によって守られたものはあるのだ。ベン・フォスターの内に秘める心情と、エル・ファニングの感情を瞬間溢れされる演技と太ももから目が離せない一本。
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