(C)2017 STADENN PROD. - MANCHESTER FILMS - GAUMONT - France 2 CINEMA
『天国でまた会おう』
これは非常に良かったですね…。悲しみを纏うのに妙に清々しいというか。ユーモアにも溢れている。
今作を見ようと思ったキッカケは実は完全にビジュアル面なのですが、もう衣装や仮面の美しさは言わずもがな。仮面は心理状態とリンクしているのかな。それとも、本当の顔を半分失ったことで、沢山の顔を得ることになったのか。
第一次大戦後のフランスが舞台なのだが、終戦間近にもかかわらず理不尽な攻撃命令によって起こった戦によって、主人公のアルベールは仕事を失い、そのアルベールを戦地で助けたエドゥアールは顔の下半分と声を失った。しかし、戦争と言う悲劇によって生まれた縁で、2人は出会い、奇跡を起こし、一生分の輝きを持った時間を過ごすことになったのでもある(戦争を肯定する意味ではありません)
戦地で瀕死状態になったエドゥアールを必死に支えたのに、お前が災厄だと言ってしまうアルベールの愛憎と絆。エドゥアールの悲しみを作品に昇華する芸術家としての宿命。そして攻撃命令をだした2人の上官への復讐。親との確執、淡い恋。そして戦争の傷。ひとつの行動がひとつの理由から、なんてことは決してなくて、それまでの経緯と感情がすべて繋がって見せる涙、そしてあの決断。
そして邦題が良いんですよ。この2人には、「天国で待ってるよ」でも「天国でも繋がっているんだ」でもなく、また会おうがしっくりくる関係性に思えるし、作品のテイストとしても、しんみりしてしまうし、あのラストについては、考えを巡らせずにはいられないけれど、それは今作の作風そのまま、悲しみを纏うハッピーエンドなのだと思いたい。
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