『search/サーチ』
非常に上手い作品だと感じましたねー。感動とか驚きとかより先に、これはよく考えたなあという気持ちになる。ほぼ全編パソコンのスクリーン画面とSNS画面という挑戦的な画もさることながら、怪しさ溢れる登場人物、緊張感の続く展開と丁寧な伏線に、作り込まれてるなあ、計算されているなあと。
SNSを題材にした映画で、ちょっと前にあったエマ・ワトソンとトム・ハンクスの『ザ・サークル』は、すこし価値観に古さを感じてしまったけれど、今作はその辺りもいい具合だったのでは。数年後も名作か?と言われると難しいテーマと内容ですけどね。とはいえ、時代感を表現するのもまた映画の醍醐味であり。
主役のパパはほぼ顔芸(はしてません)というか眉間のシワ芸でしたね。娘を探す父というのは定番のストーリーであるが、この画面の独自性によりかなり新鮮な気持ちで楽しめました。スクリーン画面が多いので、パパ以外あまり演技しないんですけど、例えば文字を打って一度消したりする様子を映すことで、言い淀む様子を表したりとか。保存したファイルの乱雑さで心理状態を表現したりとか、Facetimeを開いて作業内容と結果が表情とリンクしたりとか。芸が細かい。ほぼ全編パソコン画面とSNSと言いましたが、それ以外も監視カメラだったりと、実際の映像を映さない作り。徹底的に"視点”にこだわった映画である。そして、なにより素晴らしいのはオープニング!これは『カールじいさんの空飛ぶ家』に匹敵するかのごとく、素晴らしい出来栄え!泣きそうになりましたよ、ええ。
と、概ね作品については、そこそこ高評価です。が、考えたいのは、こういった作品の宣伝方法って難しいよな…ということですね。こういった、というのは、予想外の展開とか、どんでん返しをウリにしてる系です。
例えば、今年最大の話題作『カメラを止めるな!』でもそうなんですけど、ネタバレ厳禁!ってネタバレですよね?騙された!ってネタバレですよね?
僕はわりとネタバレされてもOKなほうで、結果が分かってても、「おー。こういう伏線はってきたか」という客観的視点で楽しむことが多い(そもそも映画を少し上の視点から見てるとこはあるかも)のだが、そうではない人もいるわけで。
少しだけ言うと、今回の『サーチ』は結構周りの評判では、騙されたとか、カメ止めを彷彿とかありましたが、まあ、わりとオチ分かるんですよね。その謎解き以外にも面白いところは結構あるんですが、謎解きメインで臨んじゃうと、気づいた時に少し覚めるというかね。
とはいえ、本当にフラットな気持ちで映画見ることなんて、ほぼ不可能に近いので、あんまり深く考えない方がいいかもしれないけれど。だけど、それこそ主演エマ・ワトソンでもないので、ある程度そういった要素をアピールしないと集客できないし良さも伝わりづらい部分はある。そう考えると、きっとみんな騙されるってことは、ここら辺が逆に怪しいんだなとか考えるようなひねくれ者なぞ無視して、どんどん拡散していけばいいんですよね。SNSで。
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