スキップしてメイン コンテンツに移動

ネタバレ厳禁というネタバレ。『カメラを止めるな!』を見る前に期待値だけが高まっている人へ。


(C)ENBUゼミナール


今、確実に話題の映画である。


先行上映会や試写会で軒並み高評価。それを聞きつけて鑑賞した人々もまた高評価。著名人も高評価。SNSでも大盛り上がり。公開当初、数えるほどしか上映劇場がなかったのに、今となってはあのTOHOシネマズでも追加上映と、飛ぶ鳥を落とす勢いな本作。実際に私も7月に既に鑑賞済ですが、いやあ面白かったですよ!


しかし。ここまで機運が高まっていると、そろそろこういう感想が出てくる頃かと思うのです。


「ハードルを上げすぎちゃったのかもしれない」


ええ。わかります。こういう状態結構ありがちですよね。で、しかもあまりに周りが絶賛しているので、乗り切れなかったことも言いづらいんですよね。


と、まあこの記事は、そうならないために、ネタバレではない事前情報、いわば”ヒント”を提示することで、上がりっぱなしのハードルを少し下げて、楽しく『カメラを止めるな!』を見に行こうということです。徐々にヒントレベルをあげていくので、自分はもうハードル下がってきたなと思った方は、即映画館へGO!だよ
※ほんとは多くの人が言うように、事前情報ナシのほうがいいとは思う...。



ヒントレベル1:これは低予算映画である

低予算だからつまらない、お金がかかっているから面白いというわけではないのが映画のいいところ。しかし、低予算であることを理解して見るのと見ないのとでは、感じ方が違います。

今でいえば『ミッション:インポッシブル』の新作は、この対極に位置する作品でド迫力でスピード感満載でインスタ映えするような場所でトムクルーズがアクションする映画ですが、『カメラを止めるな!』はそうではない。本作は、お金がない分、アイディアと汗と愛でなんとか面白い作品を作れないかと挑戦した結果なのである。

だから、どうしても綺麗な画とかはなくて、安っぽい作りだなと思ってしまうかもしれないけれど、まあそこは目をつぶって、最後まで見てほしい



ヒントレベル2:「午後のロードショー」が似合う映画である

ヒント1と少し被るが、仮にこの『カメラを止めるな!』が地上波放送になった場合、なんとなく「金曜ロードショー」ではなくテレ東昼間の「午後のロードショー」が似合いそうな映画だ。

もっと言えば、夏休み夜更かししててテレビつけたら放映されてて見てみたら案外面白い!って感じの発見されそうな映画である。月9じゃくて深夜枠というか。イメージ伝わりますかね。簡単に言えばB級映画というわけです



ヒントレベル3:SNSウケ(特にツイッター)が良さそうな映画である

偏見ではありますが、ツイッター民は特に安易な実写化映画を嫌っています。なので昨今のキラキラした話題作ではなく、緻密に練られた今作のような作品がウケやすい部分はあったかと。

あと、そうはいってもまだ劇場は多くなく(ここまで完売が続くとフラッと見てみるかとはなかなか難しい)、今感想を言っているのは、映画が割と好きな分類の人っぽいので、だからどのくらい一般層というか普段あまり映画を見ない人に評価されるかというのは純粋に気になるところ。

あとはネタバレしたいし、誰かと話したいけど(今はそうでもないが)公開劇場少なくて知ってる人が周りに少ないから、とSNSに感想をアップするパターンも多そう(僕)



ヒントレベル4:リピーターが少なさそうな回で見よう

これは作品について、というより心理的な面ですが。期待値だけが高まっている人が、たくさんのリピーターを見て劇場内の高揚感とか目にしちゃうと、それこそ期待がより一層高まるか、最悪高まったうえに一歩引いてしまう可能性すらあります。

もっといえばリピーターのリアクションネタバレのリスクもあるので、とりあえず舞台挨拶とかあるときは回避で。1回目は初見ミーハー層が多い劇場、時間帯を狙いましょう。笑



ヒントレベル5:ホラー映画ではない

ゾンビ映画だけどコメディ映画です。気楽に気楽に。



ヒントレベル6:勘のいいひとは多分気付く

この作品のレビューで「ネタバレ厳禁」が多いけど、それって、もうネタバレですよね。何かしら驚きの展開があるって言ってるようなもんですから。加えれば、多くの人が絶賛と言うのもある種ネタバレである。言い出したらキリないけど。

たぶん分かるひとには、この映画のポイントがわりと分かっちゃうと思う。この作品はミステリーではないので、探偵の気分で見るのはやめましょう。きっとこういう伏線が......と考えるのはやめましょう! カメラは止めるな! 考えは止めて!



ヒントレベル7:ワンカットシーンは37分

これ大ヒント。全体では96分ですよ!



ヒントレベル8:皆が称賛するのは映画愛

この作品から、映画に対する愛をひしひしと感じるのはなぜか。シーンひとつとっても、その裏にはこんな苦労があったのか、こんな必死な気持ちがあったのかと。

映画制作は、実際に現場で撮るだけではない。撮影までの練習や緻密な構成、もっと言えばキャスティング、もっと言えばどういう映画を撮るのかというスタート段階。年齢も役割も立場も背景も違うけれど、みんな映画の完成に向けてひとつになっているのだと。それを随所に感じさせる。熱量。愛。ゾンビ! ではなく、そういうところも見どころのひとつ。



ヒントレベル9:公式ホームページをチェックしよう

もはやヒントではない。



ヒントレベル10:最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。

もはや自分の言葉ですらない



冗談抜きに、「乗るしかない、このビッグウェーブに」くらいの軽いテンションで行くのが吉。よろしくで~~す

コメント

このブログの人気の投稿

『さよならくちびる』感想 レビュー 大好きだから終わりにしようと思った。大いなる余白、詩的な余韻。最高の小松菜奈。

(C)2019「さよならくちびる」製作委員会 『さよならくちびる』 解散が決まったハル ( 門脇麦 ) とレオ ( 小松菜奈 ) のデュオ「ハルレオ」が、ラストライブの函館まで、ローディー兼マネージャーのシマ ( 成田凌 ) とツアーをするという話。登場人物はほぼこの 3 人。起こる出来事は、それ以下でもそれ以上でもない。だけど、なにか出来事がなくても話は進み、時は流れ、気持ちは揺れ、関係は歪む。そこにあるのは、大いなる余白、詩的な余韻。最高の小松菜奈。 解散ツアーと銘打っているわけではないけど、これで解散する空気の悪さを、全部空気で伝えていく。安易に「前はこんなんじゃなかった」とか絶対言わない。ツアーをこなす時間軸の途中で、回想シーンが挿入される。回想では小松菜奈がロングなので、髪切る前派の諸君は心でスクショすべし。僕はギターを背負っているところを永遠に切り取りたかった。 美しくて猫みたいで映ると画面の外の世界まで変えてしまうような小松菜奈は勿論、そういう存在と組んだ時の、グレーとか群青色みたいな空気を纏う門脇麦も最高である。門脇麦は画面の枠組みの中で、ちゃんと地を踏みしめて生きているので、僕らの現実と地続きになるのだ。そして、今ダメ男が日本で 1 番似合う男こと成田凌もすごくよかった。 公式サイトにも記載があるけど、今作の 3 人は皆、一方通行の片思いである。片思いであり、恋とは違う何かのような気もする。百合と言われているけど、そんな単純なものじゃないような。それでいて、自分の気持ちが伝わっても、どうしようもなく、どうにもならないことだと思ってしまっている。本当は相思相愛なはず。でも近づけない。これらは推測でしかないけど、レオがなぜハルと同じようにショートにして、同じ銘柄の煙草を吸うのか。洋服の畳み方を習ってないのかと罵られたレオがハルのカレーを食べて涙したのか、とか。ハルがなぜあの人にレオを重ねたのか、とか。だれにだってわけがある。全編通して描かれるハルとレオの対比。こういう鬱屈したものを抱える門脇麦の輝き。 正直、退屈だと言う人も、ラストについて何か言いたくなる人と思う。 ( ちなみに僕は個人的に案外歌がそんなに好みじゃなかった ) だけど、映画で流れた空気が、時間が

映画『恋は雨上がりのように』感想 ありがとう小松菜奈。そして脚フェチは必見

(C)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C)2014 眉月じゅん/小学館 『恋は雨上がりのように』 監督:永井聡 出演:小松菜奈、大泉洋、清野菜名、松本穂香、山本舞香 など 高校2年生の【橘あきら】( 17 )は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の【近藤正己】( 45 )だった。 それをきっかけに【あきら】は、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の【近藤】に密かな恋心を抱いて …… 【あきら】の一見クールな佇まいと 17 歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない【近藤】。しかし【近藤】への想いを抑えきれなくなった【あきら】はついに【近藤】に告白する。【近藤】は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず ― 真っ直ぐすぎる 17 歳、さえない 45 歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。 (公式ホームページより引用) 漫画原作でアニメ化もされ、ついに実写映画化となった本作。私がこの映画に思うことは、ただただ「ありがとう」の気持ちである。 この映画を見に行く人というのは、ほぼ 小松菜奈 目当てである(偏見です。普通に原作ファンや大泉ファンなど幅広いと思う)が、そういった、 かわいい小松菜奈を拝みたいというターゲット層にしっかりと応える作品 だ。 私が覚えているだけでも、制服(夏)、制服(冬)、ファミレスの制服、部屋着(エロい)、陸上ユニフォーム、ダサいTシャツ、可愛いワンピース、部屋着(エロい)、浴衣、部屋着(エロい)、ジャージを着た小松菜奈が拝めるのだ。当然、どれも似合う。むしろ似合わない服装があるのだろうか。どの小松菜奈が一番好きか総選挙したい。個人的には結構ダサいTシャツが良い。部屋着?浴衣?そんなもん最高に決まっている。スタイリストと、ここまで幅広く衣装が着れるように様々なシーンを撮った監督に感謝したい。 そしてとにかく足の、脚のカットが多い。 山田尚子 監督作品かと間違うくらいに多い。これはあきら(小松菜奈)が陸上選手で足を怪我した役ということもある。上に記載したように、様々な服装の小松菜奈が拝めるということは、様々な脚を拝めるということ。生足、

『劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』レビュー 感想 頑張るってなんですか 青春は熱いだけじゃないけどやっぱり熱い

(C)武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 『劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』 スポ根モノから青春モノへ。映画版ユーフォ新作は、努力は必ず報われるという真っ直ぐな傾向が強い前作から ( リズは別枠として考えています ) より歪な様々な感情を描く作品へ。頑張るって何なんですか? 今回はフォトセッションあるかな〜と思って電源切らず機内モードにしていた私だが、画面に映った 2 人とその後の展開に思わずうおっと言ってしまいそうになる。そう。青春は部活だけではない。恋に勉強に大忙しなのだ。 もしも誰かが不安だったら助けてあげられなくもない うまくいっても ダメになっても それがあなたの生きる道 今後の展開を予感させる歌詞である、 PUFFY の『これが私の生きる道』が新一年生に向けて演奏される。昨年は、あんまり上手くないですね!と言われたけいおん部ではなく吹奏楽部だが、今年はしっかりと形になっている。全編にわたり、 TV シリーズと同じ出来事 ( 学校生活だから当たり前だけど ) が起こるが、意図的に 1 年生のころを思い出す演出がされている。同じ事をすることで、違うことが際立つ。新入生への演奏は勿論、デカリボン先輩は髪を切った ( かわいい ) 、夏紀先輩は最初からやる気ある ( 尊い ) 、滝先生の服装のバリエーションが増えてる … とか。 いやなんでそこチョイスしたんだよって? ほら、デカリボン先輩改め部長はなんとなく心機一転!決意表明!とかで髪切りそうだし、滝先生も昨年は一年目だったし今年のほうが 2 年目の余裕あるかもしれないじゃん?そういう描かれてないけど、そうなのかな〜と思わせる描写がいいですね。ええ、勝手に思っているだけです。 もう少し真面目な話をすれば、変化によって成長を実感できる。サンフェスで自分の決意を固めた黄前ちゃんが、人の決意の背中を押す側の立場になってたりとか、かつてあすか先輩だけ演奏して下さいと言われ悔しい思いをした黄前ちゃんが、合宿で黄前ちゃんだけ演奏してくださいと言われてたりとか。あとは、そこそこの学校のはずの龍聖高校が源ちゃん先生になって急に結果を出すというのは、カリスマ教師によって覚醒した去年の北宇治なんですよね。今年は