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『女と男の観覧車』感想 回るよ回る、変わらぬ現実を

Photo by Jessica Miglio (C)2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.


『女と男の観覧車』
監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット、ジャスティン・ティンバーレイク など


遊園地のレストランでウェイトレスとして働くジニーは、かつては女優として舞台に立っていたが、今は、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ、そして自身の連れ子と観覧車の見える部屋で暮らしている。実は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキーと付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、脚本家を目指す彼との未来に夢を見ていた。だが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていた夫の娘、キャロライナが現れたことから、すべてが狂い始める(公式ホームページより引用)





ウディアレンの新作は、笑いは少なめだが、かなりウディアレンっぽい着地をする。


原題は『Wonder Wheel』。主人公ジニーの家から見える観覧車の名前なのだが、これはジニーの境遇が、まさにいい景色が見れるが結局同じところを回るだけ、というところから名付けられたと思われる。もっとも、夫であるハンプティも回転木馬操縦係と、同じところを回ることは変わらない。しかし、観覧車に比べ回転木馬は地に足がついている分、ハンプティもジニーに比べより現実的ではある。


ジニーを演じるケイト・ブランシェット......ではなくケイト・ウィンスレット(ブランシェットは『ブルージャスミン』)の狂気にも似た愛をはじめ、登場人物に共感したくはないのにしてしまう部分があったり、自分はしなくとも、こういう人いるいる、となるのが相変わらずの人間描写。


今作はジニーは赤、彼女のライバルとなる夫の娘キャロライナは青、とテーマカラーが決まっているような気がしており、シーンによってバランスが変わる色彩は美しい。特に終盤のジニーの長台詞のシーンで、まるで夢から醒めるかのように変わりゆく色味など圧巻。50年代を舞台にしたノスタルジックな遊園地、衣装に雨と炎。そして圧倒的な夕日。画面が明るく軽快であるほど、哀しみが浮き上がる。


本当に個人的な話をすれば、女の人をこんな可愛いくてエロく撮れるの?というのがなかった点は否めない。これは単にヒロインがタイプでなかったとも言える(ほんとに個人的だな!)今回はその分を、ケイト・ウィンスレットのやさぐれてどうしようもなくて、だけどまだ夢を見ていたい感に振り切ったと思われる。


しかし、女と男の~とタイトルのもと、翻弄される......いや自ら壊していってしまう大人の男女を描いてはいるが、この映画のラストカットは燃える火を眺めるジニーの子供であり、彼こそ一番翻弄され、自分の力ではどうにも出来ない苦しい立場なのも、また事実であるのだ。


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