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6月, 2018の投稿を表示しています

2018年上半期ベスト映画

私が2018年上半期に劇場にて鑑賞した映画は40本。この数字が多いか少ないかは人それぞれだとは思うけれど、おそらく、一般人から見れば多いだろうが、映画好きから見れば少ない部類だろう。簡単に言えば、一般人にオタクと言われ、オタクににわかとディスられる。その境界線、ライン上。つまり俺がオフサイドラインなのである。 上半期を思い返すと、序盤は「君たちはどう生きるか?」と問われるかの如く、「君たちはどうバーフバるか?」という命題が席巻していたように思われる。バーフバらずにいられるのか、バーフバらない人生なんて、バーフバらない夜を知らない等とガイアが囁き、シヴァ神のお告げのまま映画館に向かった私であるが、圧倒的体験を得た代償に、バーフバリ以外の記憶を失ってしまったのだった。アカデミー賞関連の話題がでるまでのことは何も覚えていない。だから『キングスマン:ゴールデン・サークル』のことなど当然忘れてしまったのである。ああ、コリンファース死んじゃったっぽいけど続編どうするんだろうな! しかし、ここで浮上するのが『バーフバリ 王の凱旋』2018年映画なのか問題である。皆様直面した問題かと思われるが、今回、私は確固たる意志のもと、公開日はギリギリ昨年ということで候補から外したのである。いや完全版は今年だ!という抜け道は無視。さすがのバーフバリとはいえヤシの木で壁を越えても、時は越えない。時間は不可逆。Time waits for no oneなのだ。 では、いよいよベスト10の発表...と思ったのだが、総数40に対し10も選ぶのは少し多すぎる気もする。そこで、少し減らしてベスト8にしようかと思う。サッカー日本代表は次勝てばベスト8ということで。あれ? そう考えると以下にあげる8作は本当にベストなのか、もっと優れたものがあったのではないか、以下に挙げる8つ以外に進出すべき国...いや失礼、映画があったのではという気になってしまう。まあ、ここはあくまで主観的ということで。ベストとは敢えて言わずに、2018年上半期の8本。(順不同) 1.『スリー・ビルボード』 2.『シェイプ・オブ・ウォーター』 3.『リメンバー・ミー』 4.『女は二度決断する』 5.『リズと青い鳥』 6.『タクシー運転手 約束は海を越えて』 7.『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』

『女と男の観覧車』感想 回るよ回る、変わらぬ現実を

Photo by Jessica Miglio (C)2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC. 『女と男の観覧車』 監督:ウディ・アレン 出演:ケイト・ウィンスレット、ジャスティン・ティンバーレイク など 遊園地のレストランでウェイトレスとして働くジニーは、かつては女優として舞台に立っていたが、今は、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ、そして自身の連れ子と観覧車の見える部屋で暮らしている。実は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキーと付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、脚本家を目指す彼との未来に夢を見ていた。だが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていた夫の娘、キャロライナが現れたことから、すべてが狂い始める(公式ホームページより引用) ウディアレンの新作は、笑いは少なめだが、かなりウディアレンっぽい着地をする。 原題は『 Wonder Wheel 』。主人公ジニーの家から見える観覧車の名前なのだが、これはジニーの境遇が、まさにいい景色が見れるが結局同じところを回るだけ、というところから名付けられたと思われる。もっとも、夫であるハンプティも回転木馬操縦係と、同じところを回ることは変わらない。しかし、観覧車に比べ回転木馬は地に足がついている分、ハンプティもジニーに比べより現実的ではある。 ジニーを演じるケイト・ブランシェット......ではなくケイト・ウィンスレット ( ブランシェットは『ブルージャスミン』 ) の狂気にも似た愛をはじめ、登場人物に共感したくはないのにしてしまう部分があったり、自分はしなくとも、こういう人いるいる、となるのが相変わらずの人間描写。 今作はジニーは赤、彼女のライバルとなる夫の娘キャロライナは青、とテーマカラーが決まっているような気がしており、シーンによってバランスが変わる色彩は美しい。特に終盤のジニーの長台詞のシーンで、まるで夢から醒めるかのように変わりゆく色味など圧巻。50年代を舞台にしたノスタルジックな遊園地、衣装に雨と炎。そして圧倒的な夕日。画面が明るく軽快であるほど、哀しみが浮き上がる。 本当に個人的な話をすれば、女の人をこんな可愛いくてエロく撮れるの?というのがなかった点は否めない。こ

『レディ・バード』感想 痛くて愛おしい。喪失して気付く青春と親子の物語

(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24 『レディ・バード』 監督:グレタ・カーウィグ 出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ など カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ 17 歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く (映画.comより引用) 最高の青春こじらせ映画が誕生した。レディ・バードが痛くて愛おしくて堪らない。16年上半期 『スウィート17モンスター』 、16年下半期 『勝手にふるえてろ』 、そして17年上半期はこの 『レディ・バード』 である。 自らを「レディ・バード」と名乗るクリスティン( シアーシャ・ローナン )は17歳だ。しかも仲間内で名乗るどころではない。教師や家族にも「レディ・バード」と呼ぶことを強要する。ちょっと、いやかなり痛い子である。 17歳 It's a セブンティーン。思春期特有の諸問題を「まあ17歳だったから」と片づけられるのは、誰もが通るその道を過ぎた者だけなのだ。(以下、クリスティンと呼ぶと怒られそうなので、レディ・バードと呼ぶ)レディ・バードにとっては、そんなことで片付けられない大問題ばかり。 とにかく主演のシアーシャ・ローナンが素晴らしい。乃木坂の生駒ちゃんにフェルナンド・トーレスを混ぜて二手間くらい加えた顔立ち(好きです)だと個人的に思っているのだが、キャリアは長いがまだ24歳。いわゆるきゃぴきゃぴティーンエイジャーではないのと確かな演技力で全く違和感なし。実際に彼女が17歳くらいだったのはたぶん 『ハンナ』 とかあたりだと思うが、そのころだったら逆にハマらないと思う。ピンク色の髪色が超似あう。恋をしているときのレディ・バードは本当にキラキラした表情をしている。あとどの私服もかわいい。 ティーンの頃の1年間というのは、瞬く間に過ぎ行くようだが、まるで追体験するかの如くのテンポ感で(そんな意図はないかもしれないけれど)かなりスピーディーにス