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『A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー』感想

(C)2017 Scared Sheetless, LLC. All Rights Reserved. 自らの解釈が正しいか分からないし、コンディションを整えないと本当に序盤は眠くなるしで、全然人にお勧めできないけど、美しい構図の数々に音楽にテーマ性。なんかとんでもないものを見た気がするぞ......。 今作は「 A24 」という今勢いのある制作会社(長くなるので割愛しますが是非あとでググって )で、 最近では『レディ・バード』などの傑作や『アンダー・ザ・シルバーレイク』とかこちらが試されているようなものまで手がけており、これはどちらかといえば後者寄りなのかもしれない。 死を死者の視点から描いた作品であり、いわゆるホラー映画的幽霊でも、幽霊の手助けで主人公が前向きに、みたいなやつでもない。本作の幽霊は、恋人をただ見つめることしか出来ない。待つしかできない。取り残され、大切だと思っていたことさえ忘れてしまいそうになる。だけどそれを受け入れるほど割り切れはしない。自分の時が止まったままでも、どうしようもなく時は流れてしまうのだ。 死んでしまった人間の、ただ待つしか出来ない無情さを観客に如実に伝えるカメラワーク。同じ位置でカメラも待つ。 ( ルーニー・マーラのあの長回しのシーンは圧巻で悲しすぎる ) さらには字幕や画面サイズにも幽霊の視点を感じられる。画面は静かすぎるが美しく、音楽は雄弁に語る。不思議と無表情なはずのシーツの幽霊から感情が伝わってきてしまい、苦しい。徹底的に無音の映画なので、音やセリフにはきっと明確な意図がある。 人は何をもってして死となるのか。忘れられることと忘れること。想いが時を越えること。越えた先に何が残るのか。監督が少し自己投影したらしい私的で詩的な物語は、時空を越えた壮大なものになる。取り残された者は一方では取り残した者であり、これはどうしようもなく、ゴーストのストーリーで、ゴーストを抱きしめたくなる切ない愛の話であった。